伊那谷で体にやさしくて、想いのこもった加工食品を作る生産者が集まり、販売者、デザイナー、そして商工会議所担当者と連携して、ありそうでなかった「伊那谷ギフト」が生まれました。その中心メンバーにお話を伺いました。


食品加工講座「六カ塾」での出会いをきっかけに



ーーこの取り組みはどのように始まったのですか?

(結城)2018年秋に、商工会議所が開いてくれた食品加工講座「六カ塾」がきっかけです。農産物の生産から販売までを手がける「六次産業化」を学ぶため、小規模事業者向けに開催されたものです。その中で、何か新しいことを始めたいと思っていたメンバーが集まり、伊那谷で生産、加工した食品をパッケージングした「いいもの伊那谷ギフト」を作ろうという話に発展していきました。


ーーどのようなコンセプトで進められたのでしょう?

(宗京)まずは消費者目線になることから始めました。例えば、伊那谷に暮らす親御さんが都会で暮らす子供にどんなものを贈りたいだろうかと考えました。伊那谷で生産、加工されている、小さいお店や農家さんのいいものを集めてギフトにしたらどうだろうというアイデアが生まれました。最初は朝ごはんだけで考えていましたが、紹介したいものが多かったので、「伊那谷おいしい朝ごはん」「伊那谷しあわせアフタヌーンティー」「伊那谷GRANDS Dinner」の3種類の厳選ギフトを商品化することになりました。

(土田)1事業者ごとの紹介カードを作り、商品ができるまでのストーリーを書きました。ギフトを売るだけでなく、消費者と事業者をつなげたいなと思ったので、カードを読んで直接連絡をとれるなど、つながりが生まれたらいう想いもありました。


ーーみなさんは、それぞれどのような役割で関わられたのですか?

(土田)生産者、販売者、デザイナーが集まり、それぞれの特技を活かせるよう役割分担をしました。おかめひょっとこ農場の結城さんをリーダーに、中心メンバーが企画をし、生産者に声掛けをして、最終的に13事業者が関わりながら商品化していきました。私はアートディレクションとデザインを主に担当しました。みなさんの想いを汲み取りながら、一歩引いて、全体の統一感がでるようなデザインを心がけました。伊那谷のカメラマンさんと一緒に、印象的な商品撮影になるよう、世界観を作り上げていきました。

(宗京)私の会社では、販売を主に担当しました。生産者への発注、仕入れ、梱包、発送、決済、生産者への事後報告までです。実際は、みんなにも梱包を手伝ってもらって、それも思い出になりました。また、もともと弊社で企画している「グランシェフの会」と連携して、グランシェフのkurabeとざんざ亭にコラボしてもらったディナーが作れたことも、希少な取り組みだったと思います。

小規模事業者が連携するから生まれる可能性

ーー商工会議所でも初めての取り組みだったそうですね。

(羽根井)小規模事業者の販路開拓支援を目的に行いました。1事業者だけではできないような相乗効果が生まれたと思います。小規模事業者の場合、最初のスタートアップから軌道に乗せるまでが大変なので、そのあたりを伴走しながら、一緒に考えていきました。企画・運営部分でのサポートだけでなく、事業計画の書式化や広告や注文・問い合わせの窓口のお手伝いをさせていただきました。

ーー今回の取り組みはいかがでしたか?

(結城)小規模事業者同士という取り組みの良さを感じられました。得意なものをそれぞれが出し合いながら、話し合って作っていく。日頃、アイデアはあってもなかなか形にできない。それを専門家同士が集まり、6次産業化していくのは、新しい取り組みだと感じました。

(宗京)今回は、初めてのことも多く大変でしたが、みんなで一緒に学べる機会になりました。事務や経費を含めた値付けの仕方、ロットの増やし方など、一通りの流れも勉強できたので、次に生かせそうです。

(土田)フランクに対等に、お互いが抱えていた課題を共有できたのも大きかったです。また、実践を通して運営を学べたことも次に繋がっていきそうな感触をつかめました。

これからもつながっていく取り組みに期待

ーー今後は、どのような展開を考えられていますか?

(宗京)ニーズがあると感じることができました。ぜひ、定期的に「いいもの伊那谷ギフト」を企画していきたいと思います。

(土田)これからも、みんなで知恵を出し合いながら色々なことを共有していきたいですね。そして、商品の付加価値を消費者に伝えていきたいと思います。

(結城)今まで、生産者の立場だけでいることが多かった。今回、記者会見やラジオに出させていただいたのも貴重な経験でした。どうやったら、自分の商品が売れるのか、選ばれるかの視点が見えた気がして、大変勉強になりました。生産者やお店から、「自分のところもいれてほしい」という声もいただいているので、バリエーションを増やしていけそうに感じています。みんなで稼ぐことを目的に、がんばっていきたいですね。

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いいもの伊那谷ギフト 6次産業化グループ


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