伊那谷ではそこ以外では見ることのないメーカーのメガネを揃えるおがわ眼鏡さん。事業にあたっては、伊那市の商工会議所を利用されているそう。地域の人たちが、気軽に、そして当たり前に訪れることのできるメガネ屋さんを目指す、その想いについてお話を聞きました。


商工会議所で相談して開業

ーー開業されて1年の感想はいかがですか?

開業してからまる1年たって、お店の存在を知ってもらうことがとても大変だと実感しています。この地域で発行してるフリーペーパーに広告を出したり、チラシを入れたりしましたが、それだけでいいというわけではないし、だからといって口コミになったからいいというわけでもなくて。地域の中で知ってもらう方法はもっと試行錯誤しなくてはいけないと感じています。

何もしなければ何も変わりませんから、商工会議所の青年部に入っていろいろな人と会う機会を増やすようにしています。知ってもらうには、自分が出て行って直接話しをすることが大切だと思いますね。今年の夏は、いな祭りが楽しかったですよ。ずっとフランクフルトを焼いて。それが直接の集客につながるわけではないですが(笑)、お店の中にいるだけでは出会いがないですから。

 

ーー開業時に商工会議所へ行かれたそうですね。

自分のお店を持とうと決めて、まず初めに事業計画書を書いたのですが、どこから始めればいいのかわからなくて。本を買ったりして勉強したり、知り合いのコンサルタントに書いたものを見てもらったりしては書き直すということを繰り返しました。

そのころ、伊那市役所に受けられる支援がないか相談に行きました。話を聞くとあるにはあるけど、まずは商工会議所に行って相談をしてみて、と言われて。確かに、どこの誰ともわからない人間がいきなり相談に行くよりも、商工会議所の紹介があった方が信用度が違いますよね。

それで事業計画書を持って商工会議所に行きました。地域のマーケティングといった資料などがあって、相談をする中でいろいろと変わっていきましたね。今から考えると一番初めの計画書は恥ずかしくて見せられないくらいですよ。起業を考えている人は、自分一人で悩むくらいだったら、絶対行った方がいいと思います。無料で相談できるわけですから、自分のやりたいことのために溜めているお金は無駄に使いたくないですよね。

 

ーー国の小規模事業者持続化補助金の申請をされたとか

はい。2年目にあたっての展開を考えて申請をしました。でも、今回は結局申請は通りませんでした。次回再チャレンジしたいと思います。でも、このタイミングで通らなかったのは逆によかったのかなと思っています。

 

ーーそれはどうしてでしょうか。

経営者って、自分で判断できる立場じゃないですか。お金を積めばある程度のことができてしまいます。でもそれが事業の継続のためになることなのか、自己満足で終わってしまうことなのかを冷静に判断するのって難しいですよね。

それを第三者から、これからの事業にとって本当に必要かどうかを判断してもらえるわけです。自分が考えたアプローチが、他人が見た時に評価できるものではなかったということは、直接な効果が上がらない可能性が高いとか、まだ早かったり必要のないことだったりということですから。

また、書類を通して自分のやりたいことを説明することの難しさも痛感しました。自分がやりたいことを感情論で書いてはだめで。書類を読む人は、自分の事業のことは何も知らないですから、いかに簡素化して伝えて、興味を持って面白いと思ってもらうのか、そしてその効果の説得力も高めなければなりません。そういったことも勉強にもなりましたね。

気軽に入れるメガネ屋さんを目指す

ーーこれからの目標は?

本当に感謝しなくてはいけないのが、オープンして2、3ヶ月くらいの間に来店したり、お買物をしてくださったお客さまです。開業した当初は、商品のラインナップは少ないし、内装もほとんどを自分で作ったので、言ってみれば「スカスカ」状態だったんです(笑)。そのころのお客さまが直接いろんな意見をくださったおかげで、自分が何をしていけばよいのかを考えることが出来ました。

メガネ屋さんって、多くの方が「入るのに覚悟がいる」っておっしゃるんですよね。敷居が高く感じられるようで。入ったら買わなきゃいけないって思ってしまうみたいなんです。でも、もっと気軽に入っていただいて、相談だけでもいいんですっていうことを知ってほしいですね。買い物はネットですればいい、という考え方もあるかもしれませんが、メガネは直接かけて選ぶものですし、伊那にも面白い商品を扱っているお店があるって思っていただけるようになりたいです。

展示会に行くと本当にたくさんのメガネがあるんですけど、そのメガネをかけているお客さまの姿が想像できるものを仕入れると、反応がいいんです。業者の中には、「ここからここまで」というように、しっかり商品を見ないで仕入れるようなところもありますが、かけている人の顔が浮かばないようなメガネを仕入れてもつまらないですよね。

メガネも、今ではファストファッション的な商品や値段が安いものもありますが、もともとは職人さんの仕事なんです。モノだけ見ると、わかりにくいかもしれませんが、手間や技術が凝縮されたものがメガネです。そういった魅力を知ってもらったり、服を着替えるように普段からメガネをかけ替える楽しみを伝えていきたいですね。

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おがわ眼鏡
平成28年6月オープン。日本国内メーカーを中心にさまざまな商品をラインナップ。クリーニングやメンテナンスなどアフターサービスにも力を入れている。

住所:〒伊那市伊那市上牧6520-1
TEL/FAX:0265-95-1839
HP:http://www1.inacatv.ne.jp/ogawamegane/
営業時間:9:30~19:00 ※月曜定休

担当支援員よりひとこと
創業して1年を経過し、会議所青年部活動やポイントカード導入・SNS活用により人脈を拡げ認知度を上げています。持続化補助金の申請で事業計画を策定する中で改めて今の課題に気づき、お店の魅力や技術力の発信による新たな販路開拓やリピート増など、課題の解決に向けた積極的な取り組みを支援します。