伊那市民から絶大な支持を集めるローメン。ラーメンとも焼きそばとも異なるそれは、伊那以外でお目にかかる機会はほとんどありません。全国どこでも手軽にローメンを食べられるようにとカップローメンを販売する、有限会社コマックスの小松光明さんに開発の裏話を聞きました。


伊那ならではのお土産が欲しいという声に応えて

ーーラーメン大学さんではいつからローメンを出しているんですか?

うちはもともと昭和55年に両親がラーメン屋を始めて、もう37年ほどになりますが、20数年前からローメンを出しています。伊那インターをまっすぐ下りてきた場所にありますから、伊那の玄関口ということで、名物であるローメンをはじめることになりました。

ラーメン屋ですから、はじめはラーメンのスープで作っていたんですけど、お客さんからあっさりしすぎだといった声があがって。当時ラーメン大学では豚の背油が流行っていたころで、それでコクを出すようになりました。ローメンってお店に来るお客さんと我々店主のやりとりの中で味ができるのでお店によって違うオリジナルな味になるんですよね。

 

ーーなぜカップローメンを作ろうと思ったのでしょうか

カップラーメンがあるんだから、カップローメンがあったら手軽でいいな、なんとなく考えていました。そのころ、息子がサッカーでお世話になっていたクラブチームの試合で、山梨とか岐阜とか、県外のチームと試合をすることが多かったんです。その監督やコーチからお土産が欲しいと言われて。はじめは餃子を渡していたんですが、それはどこにでもあるから伊那らしいものが欲しいと。伊那らしいと言えばローメン、お土産にするならカップローメンにする必要があるなという話になったのがきっかけです。

 

ーー開発で苦労した点はありますか?

ローメンはきゃべつが欠かせないんですが、切ったものをいれると断面の色が悪くなったりして消費期限が3日ほどしかありませんでした。どうしても消費期限を伸ばしたくてキャベツを抜きたかったんですが、フリーズドライのものを入れてみようとすると、ものすごい量が必要になって、カップラーメンの3倍とか4倍入れても全く見栄えがしないんです。すると、女性からの意見で、「スーパーに行くと、野菜をいれるだけで簡単にできる、という料理の素を売っている」と聞いて。そういった商品が受け入れられるのであれば、キャベツは各自で入れてもらう形にしてもいいのかなと、後入れのスタイルにしました。

それから、もともとの発想がカップラーメンでしたから、お湯で麺を柔らかくするという考えしかなかったんです。でも、それだと麺の具合がちょうどよくならなかったんです。ある時、パートさんが「これ電子レンジでやればいいんじゃないの」って言って。うまくいくわけがないと思ったんですが、ものの数分かけたら一回で良い状態になりました。考えてみると周りの意見にだいぶ助けられていますね(笑)
やるじゃん会の買い物支援は、商工会議所などとの連携からスタートしましたが、商店主が中心となって進めたことで、楽しみに待ってくれるお客さんのいる息の長い取り組みになっていると思いますね。

商工会議所との連携でローメンをPR

ーー伊那ローメンズクラブに加入されていると伺いました

伊那ローメンズクラブは、もともと商工会議所の専門委員会から始まった団体で、加盟店が共同でローメンのPRをしています。のぼりを作ったりパンフレットをくばったり。商工会議所の事業の一環で、伊那インターを出て正面にローメンの看板を設置してあるんですが、それのインパクトが大きいようで、看板を見て興味を持って来てくれることが結構ありますね。

ラーメンはもちろん知っているけど、「ローメン」っていうのはなかなか聞いたことがないから気になるみたいで。伊那のあちこちにはローメンののぼりも立っていますから、桜を見に来たお客さんなんかが、伊那ではやたら「ローメン」の文字を見るって(笑)

ローメンズクラブには伊那市内を中心に30店舗が加盟していますが、各店舗をまわるスタンプラリーを開催したり、イベントに出たりと、共同でPRすることで多くの人に知ってもらうきっかけづくりができていると思います。

 

ーー最近ではローメンをメディアで見かけることも増えました

インターネットで販売をしているんですが、テレビでB級グルメとしてローメンが取り上げられることがあると、たくさんの注文をいただきますね。地元の企業などでもコンペの賞品として出してくださったり、お客さんでも遠方に住んでいる娘さんに送ってくださったり。お店に来ていただかなくてもローメンを食べてもらうことができるのがカップのいいところですね。

いまは、東京のアンテナショップ、銀座NAGANOにも置いています。オープンした当時、ホームページを見たら南信のものがあまりないし、ローメンの「ロ」の字もない。それで置かせてもらうようになりました。ローメンは伊那独自の食べものですが、カップになっていることで、伊那以外の人にも食べてもらえる。それをきっかけにして、実際に伊那にローメンを食べに行ってみようと思ってくれる人がいたらうれしいですね。

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ラーメン大学伊那インター店(有限会社コマックス)
昭和55年の創業から地域に愛されるラーメン店。各種ラーメンのほか自家製ローメンも人気。世界で唯一のカップローメンも販売。

住所:〒396-0022 伊那市御園南部663
TEL:0265-72-4696
営業時間:11:00~22:30(オーダーストップ22:00)※木曜定休

担当支援員よりひとこと
伊那名物ローメンは店主とお客様で作られたご当地麺料理です。小松社長もお客様のニーズに応えられるように、何度も試行錯誤され自宅の電子レンジで作れる『伊那かっぷローメン』を完成させました。今後も小松社長と今以上に連携を図りながら、更なる販路拡大に繋げる支援が出来ればと考えております。